歌舞伎界では30、40代の若手俳優が大舞台で重責を担う機会が増えた。

 新・中村時蔵は襲名披露演目の「妹背山婦女庭訓」でお三輪を演じ、端正な姿に清新な激情をほとばしらせた。中村勘九郎は初役で挑んだ父祖譲りの髪結新三(かみゆいしんざ)などに加え、「鎌倉三代記」で演じた時代物の骨太な役柄に個性が光った。

 ただ、今年も一番の話題を集めたのは、「婦系図(おんなけいず)」で共演した片岡仁左衛門と坂東玉三郎だろう。こうした顔合わせの妙を楽しめる演目や配役が、中堅俳優の舞台にも増えてほしい。

 来年は「仮名手本忠臣蔵」が約9年ぶりに通し上演される。次代への継承の機会とできるか、試金石となりそうだ。

 菊五郎劇団で活躍した市川團…

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