
米国のトランプ大統領が就任して20日で1カ月。連日のように大統領令に署名し、選挙戦での公約を異例のスピードで実行に移してきた。一方で、大統領に与えられた権限の限界に挑むような振る舞いは、強権的ともいえる危うさをはらんでいる。
ホワイトハウスのオーバルオフィス(執務室)。大統領令のファイルが積み上げられた机の前にトランプ氏が座り、背後には政権幹部らがずらりと並ぶ。
「次は紙ストローについての大統領令です。誰も紙ストローを好んでいません」
テレビカメラが回るなか、側近が内容を説明すると、トランプ氏がコメントを加えながら、太字のサインペンで署名していく。「我々はプラスチック製のストローに戻す。(紙ストローは)すぐにダメになる。馬鹿げた状況だ」
関税の発動や政府職員の人員削減、「DEI」(多様性・公平性・包摂性)推進の取り組み廃止――。18日までに署名した大統領令の数は覚書、布告をのぞいて70本にのぼり、過去の例を圧倒する。
数々の政策はこうして執務室で発表され、ニュースが各国を駆け巡る。即席で記者団との質疑にも応じ、新たな方針が飛び出すことも珍しくない。
逆に、バイデン前政権で毎日のように開かれてきた報道官会見は、これまでに4回だけ。「トランプ氏こそがホワイトハウス最高の報道官」(レビット報道官)という状況だ。
2期目を迎えたトランプ政権は、主導権の強さも特徴の一つです。それはどこからくるのか。なぜそこまで矢継ぎ早に動くのか。取材しました。
側近に忠実な面々、アクセル全開
第2次政権の特徴の一つは…