性的マイノリティーによる出産や子育てに関する調査の最新結果がまとまった。性的マイノリティーのもとで育つ子どもたちの存在は近年可視化されつつあるが、どんな生活の問題を抱えているのか、といった認知が広がっているとはまだ言いがたい。実際に子どもを生み、育てている女性同士のカップルに話を聞いた。
2021年冬、「こどまっぷ」の代表理事長村さと子さん(41)は、精子提供で男の子(2)を出産した。子どもを持つことは長年望んでいた。一緒に育てるパートナーの茂田(もだ)まみこさん(44)は「毎日が新しく、幸せに感じている」と話す。
こどまっぷの最新の調査によると、2人のように、この3年間で、本人かパートナーが第三者の精子提供などを受けて子どもを生んだと答えた人は122人いたことが分かった。
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現在、国による実態把握の調査はない。
こどまっぷの調査は、国内の全数を把握しているわけではないが、数字として示すことで、同じように子どもを育てる当事者やその周辺の人たちの安心感につなげたいという。また、性的マイノリティーの人たちに、子どもを持つ選択肢があるということを知ってもらうきっかけになればとも思っている。
2015年からおおむね3年ごとに調査してきたことで、長村さんのもとには、毎月のように妊娠・出産報告が届く。子どもを持つ当事者は増えているという。
一方で新たな不安も生じていると感じる。
第三者の精子・卵子を使った不妊治療のルールを定めるため、現在与野党で検討されている「特定生殖補助医療法案」では、病院での精子・卵子提供の対象を法律婚の夫婦に限定し、同性カップルは対象外になる方針だ。当事者の一部には、子を持つ選択肢が狭められる焦りが広がっているという。
当事者とその子どもが生きづらさを感じることなく生活できる社会の環境づくりも問われている。
常に「正しい姿でなければ」という緊張感
長村さんは、幼稚園に入る前…