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裁ち合わせパズル

 120年以上謎だった難解パズルを解明したと、日米の数学者3人が10日、発表した。「悪魔の証明」とも言われる「ないことの証明」に成功しており、計算機で解くことが困難な図形パズルに新たな解法が得られる可能性がある。

  • こちらは、着手30年・計算2年で証明された魔方陣の難問

 証明したのは「正三角形を3ピースに分解して、裏返さずに並べ直して正方形を作ることは不可能」という定理。論文が、査読前のプレプリントとして「arXiv」に投稿された(https://doi.org/10.48550/arXiv.2412.03865)。

「4ピースでは可能」1902年に判明

 図形を切り分け、別の形に作り直すパズルは「裁ち合わせ」と呼ばれる。正三角形から正方形を作る問題では、正三角形を4ピースに切り分けられる方法が1902年に発表されていた。

 では、3ピース以下で切り分ける解は存在するか。この問いに、北陸先端科学技術大学院大学の鎌田斗南助教と上原隆平教授、米マサチューセッツ工科大学のエリック・ドメイン教授が取り組んだ。

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正三角形と正方形を3ピースに分割するパターンの一部=鎌田斗南さん提供

トポロジー使って37通りに分類

 まず、正三角形も正方形も3ピースに分割できると仮定し、どのような分割パターンがあるかを考えた。

 使ったのは、位相幾何学(トポロジー)。コーヒーカップとドーナツは「同じもの」とするように、図形をぐにゃぐにゃと連続的に変形しても変わらない性質を探る分野だ。

 3ピースに切り分けるパターンは無数にあるが、ささいな形の違いは気にせず、分割パターンを37通りに分類した。

 その後、分割した正三角形と正方形の各ピースの辺と頂点の関係を考えて、いくつかの連立方程式を導出。これらの式が矛盾していることを明らかにした。

 これで、3ピースに分割できるという仮定が誤りであり、正三角形から正方形を作るには最低4ピースが必要と判明したという。

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