光背を取り付け、写経を入れた木箱が胎内に納められた本尊の阿弥陀如来座像=2025年2月19日午後1時42分、奈良市菅原町、向井光真撮影

 奈良時代の高僧、行基ゆかりの喜光寺(奈良市菅原町)で、本尊「阿弥陀如来座像」(国重要文化財)が約100年ぶりの修理を終え、重厚で慈悲深い姿がよみがえった。修理・復元に約6年。大半が欠損していた光背が無事復元できたのは、奇跡的な「発見」によるものだった。

 同寺は721年、行基が創建したとされる。本尊の阿弥陀如来座像(約2・3メートル)は平安期に作られたとされ、台座や光背を含めた総高は約5・9メートル。大正期の1925年に修理されたが漆や金がはがれ落ちるなど傷みが目立つようになったため、同寺は2019年度から本尊本体、台座、光背の修復を順次始めた。

 ただ、江戸時代中期の作とみられる木造の光背は6割以上が欠損し、復元は難しかった。そこで、一連の修理を手掛ける美術院国宝修理所が他の光背などを参考に復元予想図を作り、それに基づいて作業を進めることになっていた。

 ところが、修理に入る直前…

共有
Exit mobile version