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日本ハムの新庄監督(左)に迎えられるサヨナラ打を放ったマルティネス=2024年9月28日、エスコンフィールド北海道、角野貴之撮影
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 エスコンフィールド北海道が歓喜に包まれた。プロ野球日本ハムが28日のソフトバンク戦に7―6でサヨナラ勝ちし、リーグ2位が確定。新庄剛志監督が就任3年目にしてクライマックスシリーズ(CS)第1ステージを同球場で開催する権利を手にした。

 2年連続の最下位から迎えた今季。開幕前の評価は高くなかった。それでも新庄監督は「最低でもCS出場。できなかったらユニホームを脱ぐ覚悟です」と自ら退路を断って臨んだ。

 開幕ダッシュに成功したものの、交流戦から失速。最大9あった貯金を全て吐き出して、7月7日には借金3の5位に低迷した。しかし、夏場から息を吹き返し、2年連続の最下位から一気に2位に躍進した。「過去2年間は僕を信じて野球に取り組んでもらった。3年目は僕が選手を信じた。その結果です。それだけです」。新庄監督は選手たちへの感謝を忘れなかった。

 接戦に強い。この日の試合は象徴的だった。3点リードで迎えた八回に4番手の池田隆英投手が4失点し、いったんは逆転を許した。しかし、九回に水野達稀選手の本塁打で追いつき、さらに代打マルティネス選手のサヨナラ安打で逆転勝利した。

 昨季の1点差試合の勝率3割5分4厘(17勝31敗)は12球団ワーストだった。「その結果を逆にすれば、Aクラスに入れる」(新庄監督)の言葉通り、今季は球界トップの6割1分4厘(27勝17敗)に上昇。10度のサヨナラ勝ちも最多だ。

 清宮幸太郎選手が入団7年目にして覚醒し、夏場以降は3番に定着した。ソフトバンクから移籍した水谷瞬選手は交流戦のMVPに輝いた。新外国人のレイエス選手が4番に座る超重量打線は迫力十分。

 投手陣もリーグトップの14勝を挙げている伊藤大海投手、オリックスから移籍した山崎福也投手と加藤貴之投手がともに10勝と2桁勝利の投手が3人そろった。「昨季までは1軍入りに必死になっていた選手たちが、今季は激しいレギュラー争いをしている」と新庄監督。

 投打の層の厚さは、優勝したソフトバンクに見劣りしない。対ソフトバンク7連勝で対戦成績も12勝11敗1分けとした。

 10月12日からエスコンで始まるCS第1ステージ(3試合制)のチケットは既に完売し、ファンの期待は大きい。

 ただ、新庄監督は本拠でCSを迎えることに特別な感情は示さない。

 「今はCSを勝ち抜き、日本シリーズをエスコンでやることしか考えていない。選手も同じ思いだと思う」。現役時代の2006年、入団3年目の日本ハムで日本一に輝いた。その再現を虎視眈々(こしたんたん)と狙っている。(畑中謙一郎)

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