厚生労働省は10日、1月分の毎月勤労統計調査(速報)を発表した。物価の影響を考慮した働き手1人あたりの「実質賃金」は、前年同月より1.8%減り、3カ月ぶりのマイナスとなった。物価が高騰するなか、昨年11、12月のようなボーナス(賞与)の大幅増がなくなった。

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 1月は、労働者が実際に受け取った「名目賃金」にあたる現金給与総額は2.8%増の29万5505円で、37カ月連続のプラスだった。ただ、実質賃金の計算に使う消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が4.7%上がり、この物価上昇分を差し引いた実質賃金は1.8%減となった。

 現金給与総額のうち、基本給に対応する所定内給与は3.1%増の26万3710円で、1992年10月以来32年3カ月ぶりの高い伸びだった。一方、賞与を含む「特別に支払われた給与」は3.7%減の1万2317円だった。昨年12月の賞与などは6.2%増の33万円台だったがが、1月はこの増加分がなくなった影響もあって、実質賃金はマイナスに転じた。

 現金給与総額を就業形態別にみると、フルタイムの一般労働者は2.7%増の37万9253円、パートタイム労働者は4.5%増の10万9252円だった。

 厚生労働省の担当者は「基本給などの賃上げは進んでいるものの、食料品を中心とした物価の高騰が激しい」と話している。

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