デジタル教科書で本文の音声読み上げを聞きながら、プリントに単語を穴埋めする生徒ら=2024年6月17日午後1時30分、茨城県かすみがうら市立霞ケ浦中学校、宮坂麻子撮影

 紙の教科書が電子化された「デジタル教科書」が、今年度から本格導入された。小5~中3全員に英語、算数・数学も半数以上に配布。多様な機能を備え、児童生徒一人ひとりが、自分に適した方法を主体的に選べる学びの実現が期待される。今後、学校教育の姿はどう変わり、進化していくのか。課題はないのか。

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 東京都心から車で約1時間半の茨城県かすみがうら市立霞ケ浦中学校。6月中旬、2年生の英語の授業が始まると、生徒約30人は1人1台配布されたタブレット端末を開いた。紙の教科書を出す子は見当たらない。

英文聞いて書き取り それぞれの速度・方法で 生成AI使う子も

 「デジタル教科書の英文を聞いて、プリントの文の空欄をどんどん埋めましょう」

 小松﨑亮教諭(37)の掛け声で、聞いた英語を書き取る「ディクテーション」が始まった。生徒たちはデジタル教科書を立ち上げて、端末にヘッドホンをつなぐ。画面の再生ボタンを押すと、英文が音声で読み上げられる。

 ある生徒は、調整ボタンで再生速度をゆっくりに。1文ずつ何度も再生し、答えを書き込んだ後もスペルが間違っていないか確認しながら進める。一方、英語が得意な子は、速く流しながらどんどん書き込む。生徒は「速さも方法も自分で選べるから、デジタル教科書はいい」と言う。

 かつては、CDを聞かせるなどして、教員主導で全員一斉に同じ音声を聞いていた。それが、デジタル教科書の導入で、個々に取り組む風景に変わった。

 英語の問題を自作する活動で…

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