1万円札の肖像が7月に福沢諭吉から渋沢栄一へ代わるのを前に、福沢の故郷・大分県中津市の奥塚正典市長と渋沢の出身地・埼玉県深谷市の小島進市長が14日、記念対談をした。両市の小学校同士でオンライン交流をする案が持ち上がり、「ぜひやりましょう」と意気投合した。
対談は中津市の中津城そばの市歴史博物館であった。肖像交代が決まってから、小島市長が中津市を訪問するのは初めて。2人の偉人の肖像パネルを並べ、各市の特産品である「大分味一ねぎ」と「深谷ねぎ」を置いて食についても会話が弾んだ。
啓蒙(けいもう)思想家として、また慶応義塾の創設者として知られる福沢に対し、実業家で「近代日本経済の父」とも呼ばれる渋沢。将棋を指してお互いを認め合ったエピソードも残る。小島市長は渋沢が福祉事業に力を入れたことを紹介し、奥塚市長は「弱者を助けようという気持ちがお二人は共通している」と語った。
中津市では「不滅の福沢プロジェクト」と称して市を挙げた顕彰事業を展開中。演説に重きを置いた福沢にちなむ全国高校弁論大会は昨年62回目を迎えた。小島市長は「中津市の顕彰事業はすごく勉強になった」と話し、「お互いの小学校をオンラインでつなぎ、それぞれの偉人について学ぶ機会が持てれば」と提案した。
新紙幣が発行される7月3日はゆかりの地で引き継ぎ式を開く計画を進めているという。(貞松慎二郎)