台風10号の衛星画像。28日朝の時点で非常に強い勢力となっている=気象庁ウェブサイトから

 非常に強い台風10号の接近に伴い、気象庁は28日午後、鹿児島県内に最大級の警戒を求める暴風、波浪、高潮の特別警報を相次いで発表した。雨量の状況によっては宮崎県を加えた九州南部で大雨特別警報を出す可能性もある。雨や風が強まる前の避難を呼びかけた。

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 台風10号は30日にも九州に上陸する見込み。九州全県と山口、徳島、愛媛、高知の各県では29日夜にかけて線状降水帯が発生する恐れがある。

 台風を要因とする特別警報は、全国で5千人超の死者・行方不明者が出た1959年の伊勢湾台風級(中心気圧930ヘクトパスカル以下または最大風速50メートル以上)や、数十年に1度の強さの台風によって暴風などが予想されるときに発表される。

 台風による暴風などの特別警報は、2014年の台風8号で宮古島と沖縄本島地方に、16年の台風18号で沖縄本島地方に、22年に台風14号で鹿児島県に出されて以来、4回目となる。

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 28日午後3時の観測によると、台風10号は鹿児島県・屋久島の南西約50キロにあり、中心気圧は935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートル。ゆっくりした速度で北に進んでいる。

 台風が接近した鹿児島県屋久島町では観測史上1位を更新する最大瞬間風速44.4メートルを記録。台風周辺の湿った空気の影響は広域に及び、27日夜には愛知県蒲郡市では家族5人が住む住宅1棟が土砂崩れに巻き込まれた。4人は救助されたがうち70代女性と、30代とみられる男性の死亡が確認され、残りの1人とは連絡が取れていない。

 総務省消防庁の28日午後4時時点のまとめでは、宮崎と鹿児島両県で計約198万人を対象に避難指示が発令。宮崎市佐土原町では突風が発生し、飛んできた瓦に当たったり、横転した車両に挟まれたりして4人がけがをした。文部科学省によると、宮崎など6県の小中高や大学など262校が休校した。

 交通ダイヤの乱れも当面続きそうだ。山陽新幹線は29日夜と30日午前の広島―博多間を運休する。九州新幹線は29日の熊本―鹿児島中央間を終日運休し、博多―熊本間も午前8時ごろから運転を見合わせる。東海道新幹線は30日~9月1日に運休の可能性がある。

 29日午後6時までの24時間に予想される雨量は、九州南部600ミリ▽九州北部400ミリ▽四国と東海で各300ミリ▽奄美と近畿で各150ミリなど。30日以降も大雨が続き、九州南部を中心に総雨量1000ミリ超の記録的な大雨となる恐れがある。(大山稜、細沢礼輝)

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