都道府県所在地中心部にあるJR駅のうち、数少ない有人改札である鳥取駅(鳥取市)で来春、自動改札機が導入される。「ICOCA(イコカ)」や「Suica(スイカ)」などの全国交通系ICカードが使用でき、利用客の利便性が高まる。改札では自動改札機の設置工事が始まっている。
今夏、東京から鳥取に観光でやってきた記者の友人の妻(50代)は、改札に数人の駅員が立って利用客から切符を受け取る光景に驚いていた。「まるでタイムスリップしたみたいで懐かしい感じでした」
「お気をつけて」「どうもありがとう」。有人改札のいいところは駅員と利用客とのコミュニケーションが生まれるところだ。「米子行きは何番線?」と気軽に聞けるのも便利だ。
一方、駅員にとって大変なのは、自動改札機なら機械が判読する切符の正誤を、受け取って瞬時に見分けなくてはならないことだ。時間がかかれば改札が混んでしまう恐れがある。さらに切符を確認しつつ、乗客からの乗り換えなどの問い合わせに、正確に素早く答えなければならない。
鳥取駅の小川修司駅長(48)は「駅員には利用客とのコミュニケーションを図り、問い合わせにも対応できるようにお願いしてきました。切符の確認は確かに難しいですが、そのテクニックは先輩から後輩に技術継承してきました」と話す。
JR西日本は交通系ICカードが使える自動改札機を順次増やしており、来春は山陰線の鳥取―倉吉(鳥取県倉吉市)で導入する。山陰線でも伯耆大山(同県米子市)―出雲市(島根県出雲市)などではすでに導入ずみだ。鳥取市内では、鳥取市循環バスが鉄道に先駆けて交通系ICカードに対応している。
小川駅長は1999年に入社。初任地は鳥取駅で、改札にも立っていた。「鳥取駅の有人改札は私にとって鉄道の原点。それを自分が見送るというのは感慨深いですね」