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アフリカツメガエル

 魚やカエルの解剖、本当に必要でしょうか――。高校で「探究」の授業が広がり、科学研究に伴う倫理教育の重要性も高まっている。不正行為だけでなく、生き物の扱い方が国際基準でみると問題となるケースも。生徒や教員に研究倫理を学んでもらおうと、専門家らが手引をまとめた。

 高校で必修の「総合的な探究の時間」や選択制の「理数探究基礎」「理数探究」の授業が広がり、生徒が自分で科学的な仮説や計画を立てて実験や観察に取り組む機会が増えている。

 同時に、研究倫理や公正さについての意識も重要性が増してきた。生き物や環境にダメージを与えたり、協力者(被験者)に負担をかけたりする面があるからだ。

 ただ、指導する教員も研究倫理について学んだことがない人は多い。

 そこで研究不正の防止に取り組む「公正研究推進協会」が今夏、教員向けに作ったのが「中等教育の研究倫理 探究指導のためのハンドブック」だ。

 公開に際して記者会見した西條芳文・東北大教授は「魚の解剖は、日本では教科書で紹介されてきたが、実は脊椎(せきつい)動物。米国のコンテストに行けばかなり問題視される」と研究倫理の一例を紹介。高校生の科学コンテストの審査にも携わる西條教授は「指導役の先生からは『大変だ』という声が上がっている」と学校現場の実情を伝えた。

 ハンドブックでは、実験や観…

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