衆院予算委で答弁する石破茂首相=2025年2月4日午後、岩下毅撮影

 医療費の患者負担に月ごとの限度を設けた「高額療養費制度」の見直しをめぐり、政府は昨年末にまとめた改革案を修正する検討に入った。長期間の治療が必要な人の負担増を緩和する方向だ。上限(限度)額の引き上げに対し、がん患者らから不安の声が上がっていた。

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 制度は、大きな手術などで医療費の支払いが膨らんだ際、所得などに応じた限度額に抑える仕組みだ。政府は、所得区分を細分化するなどして2027年夏にかけて3段階での引き上げを想定。第1段階の今夏には現行の所得区分ごとに2.7~15%増額する方針を示していた。

 ところが、高額な治療を長く続けるがん患者らから「治療を諦めなくてはいけないのか」といった反発の声が広がった。4日の衆院予算委員会で石破茂首相は「あらゆる可能性は否定されない」と発言。政府案の修正に含みを持たせた。

 こうした状況から、厚生労働省内では、長期の治療を受ける人に対する激変緩和措置が検討されている。具体的には「多数回該当」の仕組みについて、政府案の修正が浮上している。

 現行の「多数回該当」の仕組みでは、12カ月以内に3回以上、限度額に達した場合は、4回目からはさらに限度額が引き下げられ、負担が軽減される。ただ、改革案では、多数回該当の限度額も含めた制度全体の限度額を引き上げることとしていた。

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