冬場の朝の高血圧、あなたは大丈夫?

 高血圧の薬を飲んでいるのに、冬場は朝の血圧が高くなって制御できない……。70代の女性から、医療相談「どうしました」のコーナーにそんなお便りが寄せられた。高齢者ややせている人の中には、気温によって血圧が大きく変動する人がいるという。日本高血圧学会理事長の苅尾七臣(かりおかずおみ)・自治医科大学教授に、原因や対処法を聞いた。ポイントは「部屋をあたためること」だという。

  • 連載「どうしました」はこちらから

 Q 寒くなると朝の血圧が上がるそうです。

 A 冬場の朝の高血圧は、12~2月の今の時期は特に注意が必要です。心筋梗塞(こうそく)や心不全、大動脈解離といった循環器の病気による死亡が1.5倍ほどに増え、年間でもっとも多いのがこの時期です。冬場の高血圧を放置してはいけません。

寒くなると血圧が上がる「気温感受性高血圧」

 Q 相談者の女性は、上の血圧が普段と比べ20ミリHgほど上がっているそうです。

 A 気温が10度下がると、10ミリHg以上血圧が上がる人を「気温感受性高血圧」と呼んでいます。高齢者や、やせている人、血管が硬い人に多いです。血管が硬いと、気温による影響を抑制できないためです。

 Q 特に朝、高くなるそうです。

 A 一般に、夜間の血圧は低く、朝の血圧は高くなる傾向があります。朝は、交感神経がたかぶって、末梢(まっしょう)の血管が収縮するため、血圧が上がります。私たちの調査では、高血圧の薬で治療を受けている人でも、朝の高血圧をコントロールできている人は5割ほどしかいませんでした。薬を何種類か飲んでいても、朝の血圧は下がりにくいのが特徴です。

 一方で、朝の高血圧は脳卒中のリスクを高めるので要注意です。

部屋を22度以上に、服薬タイミングの工夫も

 Q では、どうしたら下げることができますか。

 A 一つは、部屋をあたため…

共有
Exit mobile version