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ミャンマー東部を舞台にした大規模な国際詐欺に加担させられ、その後郷里に戻ったインドネシアの若者たちが、朝日新聞の取材に応じた。厳しいノルマや暴力にさらされながら、人工知能(AI)も使って「ロマンス詐欺」を仕掛けていた手口などを語った。
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インドネシア北西部に住んでいた男性(25)は昨秋、親戚に教えてもらった業者から「タイで衣料品会社のマーケティング職がある」と仕事を紹介された。
提示された月給は800ドル(約12万円)。地元で建設作業員やトラック運転手の仕事をしてきたが、最低賃金の3倍近い待遇だった。
業者の手配でタイのバンコクまで飛行機で向かい、車を乗り継いだ。ボートで川を渡り、別の車に乗ると、荷台に銃を持った男たちが乗ってきた。
彼らの衣服についていた国旗を見て、初めてミャンマー領内にいると気づいた。「人身売買の被害に遭ったと思い、恐ろしくなった」
連れていかれたのはミャンマー東部のミャワディ。敷地内には六つの建物があり、インドネシアのほかエチオピアやブラジル、ラオス、タイなどの数百人が働かされていた。取り仕切っていたのは中国人の男たちで、通訳もいた。
パスポートや携帯電話は没収された。逃走を防ぐためか、敷地は高さ5メートルほどの壁に囲われ、有刺鉄線も張られていた。
男性は、別の人間が集めてきた電話番号やフェイスブック、インスタグラムなどのSNSのアカウントの一覧を渡され、マニュアルに沿って朝7時から夜11時までメッセージを送るよう命じられた。
女性と偽り、プロフィル写真も加工
主な標的は、所得が高いイギ…