料亭花月の「室戸キンメ丼」。この日はキンメの照り焼きに、キンメとブリ、キハダマグロの刺し身が並んだ=2024年3月25日、高知県室戸市室津、羽賀和紀撮影
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 高級魚の代表格、キンメダイの西日本随一の産地が、記録的な不漁にあえいでいる。地域おこしの象徴で、観光客に人気の「キンメ丼」の存続にも黄色信号がともり始めた。

 高知県室戸市。四国の南東端に突き出た室戸沖は全国有数のキンメの産地だ。しかし2年ほど前から、この漁場だけキンメの漁獲量の落ち込みが目立っている。

 「10年リースで漁船を手に入れたのに収入は想定の3割ほど。こんなはずじゃなかった」。漁師に憧れ、4年前に奈良から移住した辰己正人さん(43)は肩を落とす。

かつては「金魚のおばけ」とも

 室戸では1970年代からキンメ漁が始まった。木製の樽(たる)を浮きにして、仕掛けを潮の流れに乗せて釣る「樽流し」という独特の漁法が受け継がれている。

 鮮紅色の体に金色の大きな目。そんな風貌(ふうぼう)から、かつては「金魚のおばけ」などと呼ばれて安値で取引されていたが、ほんのり甘い上品な味が人気に。

 とくに室戸沖は漁場が沖合20キロほどと近く、釣ったその日に水揚げされる新鮮さが評判だった。

 その室戸でいま、キンメが揚がらない。

 県漁協室戸統括支所によると…

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