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全国選手権大会で力投する早稲田実の斎藤佑樹=2006年8月、阪神甲子園球場

 日本高校野球連盟は23日、大阪市内で理事会を開き、公式戦で投手1人の投球数を1週間500球以内とする制限について、2025年度の大会から正式に高校野球特別規則として定めることを決めた。20年春以降、すべての公式戦で試験的に導入していた。

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 日本高野連は21年、大学教授や整形外科医らでつくる「投球制限検証ワーキンググループ(WG)」を設置。投球数制限と肩やひじの障害予防との関連について、医学的データを集めて検証していた。

 22年の全国選手権から24年選抜までの甲子園4大会で、1回戦から準決勝まで登板した全投手を検診。準々決勝、準決勝で投げた投手の検診記録が残る01年選抜~22年選抜を加えたのべ875人のデータをもとに、痛みの原因になりうる複数の要素を分析した。

 統計学的な分析の結果、1大会の累積投球数が400球を超えてくると、肩やひじの痛みが出る割合が増える傾向にあったという。また、投球数制限の導入前に比べ、導入後は痛みが出る確率に低下傾向が見られた。

 累積投球数が100球未満と比べると、100~499球を投げた投手にひじの痛みが出る確率は1・89倍だった。500球以上では2・13倍に上がった。

 WGは検証結果から「1週間500球の制限ルールは肩ひじ痛の発生を抑制している可能性があり、肩ひじの障害予防の観点から合理性を欠くものではない」と結論づけた。

 また、投球数が100球未満でも、約2割の投手に肩やひじの痛みが出ていた。WG座長の正富隆・日本高野連医科学委員長は「500球以内は一つの目安。故障に悲しむ選手を出さないでほしい」と話した。

 2006年の全国選手権大会7試合で計948球を投げた元早稲田実・斎藤佑樹さん 「自分自身の高校時代の経験も踏まえ、今後の障害予防の更なる普及には、選手ごとに体の柔軟性や疲労度が異なるなかでパーソナライズされた取り組みも必要だと感じました。投球数の制限だけではけがを完全に防止することはできません。別のルール改正なども検討していただき、高校年代の障害予防への取り組みがもっと広がることで、小中学生のけがの予防にもいい影響を与えることを切に願っています」

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