全国の小中高生がアイデアを競い合う「オリジナル雑煮」のコンテストでグランプリに輝いたレシピが実用化された。城南高校調理科(岐阜市)の冨成柚凪(ゆな)さん(3年)考案の「信長雑煮」をメインにした食欲をそそるランチセットだ。
コンテストは、10月に急逝した料理評論家・服部幸應さんが会長を務めていた全国調理師養成施設協会(東京)が主催し、文科省などが後援した。「雑煮」と「全国」の頭文字にちなんだ第2回「Z―1グランプリ」で、1107点の応募レシピから、服部さんら専門家の実食など3次にわたる審査を経て、6月の決選投票へ。試食者による最終審査でグランプリに輝いた。
雑煮は岐阜を本拠とした織田信長がモチーフ。奥美濃地鶏、飛驒のホウレンソウ、各務原のニンジンなど地元産食材をふんだんに使い、だしに酒かすを入れてインパクトのある風味に仕立てた。
ポイントは干し柿や金粉を加えたことだ。信長は客に干し柿を振る舞い、居館には金箔(きんぱく)瓦が使われていたとされる。冨成さんは「干し柿や金粉で信長をイメージさせました」と説明する。
この雑煮にコラボしたのが岐阜グランドホテル(岐阜市)が岐阜商工会議所内で直営する薬膳レストラン「オリビエ」。雑煮をメインに、小松菜浸し▽飛驒牛時雨煮▽茄子阿蘭陀煮▽人参金平▽サラダ▽車麩・蓮根フライ▽いなり寿司▽白玉栗粉餅をセットにした。
考案したのは福田千絵調理長。「岐阜の食材と旬のものを使うことを基本に、年配者も食べやすいよう胃に重くならないメニューにしました」。
信長雑煮について「岐阜では酒かすで雑煮という発想はなかなかありません。斬新なアイデアだと思います」と語る。雑煮の特長を引き出せるよう半月ほど試行を重ねて編み出したという。
雑煮を食べてみると、濃厚な汁はほんのりと甘みを感じ、口に優しい。どの具材もしっかりとした味わいが楽しめる。
シェフを目指している冨成さんは「地元の人に食べていただける機会が増えたのは、とてもうれしいです」と喜ぶ。
岐阜グランドホテルの森義雄総料理長は「高校生が考えた産学連携の唯一無二のメニュー。体に優しいランチプレートに仕上がっています」とPRする。
信長雑煮ランチは税込み2千円。1日10食限定で12月20日までの予定。平日午前11時~午後2時。(高原敦)