全国の高校生を対象にしたエッセーコンテスト「17歳からのメッセージ」(大阪経済大主催)で、鹿児島県立大島高校(奄美市)1年の吉村龍馬さん(16)の作品「一万度を触って」が最高賞のグランプリを受賞した。科学実験を通じて行動力に目覚めた経験をつづった。吉村さんは「受賞に自分も周りも驚いている」と喜びを語った。
このコンテストは、高校生が今の思いを600字以内のエッセーにして応募するもので、今年で24回目。三つのテーマに全国426校から2万8976作品が集まった。グランプリはテーマごとに1作品が選ばれる。
吉村さんは「今までの自分、これからの自分」のテーマで応募した。中学3年まで人見知りで「自分から行動することをあきらめかけていた」が、科学の講話を聞きに行き、発生温度が約1万度とされるプラズマの実験器具に勇気を出して触れた。「ここで触れなければ二度と触れないと。その気持ちは私をつき動かした」。機器は熱くなかった。行動しなければわからないことだった。
そして「行動したいという強い気持ちがあれば行動できると分かった。たくさんたくさん行動していきたいと思う。この気持ちの熱量は、一万度なんか軽々と越えている」と締めくくった。
全校生徒を前にした表彰式が10月21日に同校であり、審査員を務めた大阪経済大の熊沢輝一教授は「行動することの大事さを表現し、未来に開いていくしなやかな感性に驚いた」と講評した。
吉村さんは「思い出をそのまま書くことを意識した。自分としてはこれ以上ないだろうというくらい頑張った」と語った。高校に入って、ボランティアに行くようになったという。「今の気持ちの熱量は1億度。もっと燃やし続けたい」(エリアリポーター・神田和明)