内野ゴロを捕球して送球するまでの足さばきを実演する元中日の荒木雅博さん(中央)=2024年12月14日、藤崎台球場、吉田啓撮影

 プロ野球選手らが高校球児たちに実技指導をするシンポジウム「夢の向こうに」が14日、藤崎台球場(熊本市中央区)などであった。熊本県内の野球部員323人が、プロ選手ならではの細部にまで考えが巡らされた実践的な助言を受けた。

 阪神の岩貞祐太(必由館)や大竹耕太郎(済々黌)、島田海吏(九州学院)、百崎蒼生(東海大熊本星翔)の各選手、元巨人の緒方耕一さんや元中日の荒木雅博さん(共に熊本工)ら熊本県出身者が多数訪れ、後輩たちの指導に熱を入れた。

 荒木さんは、内野手がゴロを捕球する際の足の運び方を実演し、足を動かし続けて捕球、送球と一連の動作につなげる大切さやコツを伝えた。

 緒方さんは、走者になったとき「体幹の1軸を意識するとスタートを切る際に回転しようとして無駄が生じる。両足それぞれに軸を置く感覚を持とう」と、球児たちと一緒に走塁の構えをした。

 「スライダーのキレを増したい。握りを教えてほしい」と質問を受けた大竹投手は「ボールを握るとき指の腹からではなく、指の先端からと意識することでしっかり握れる。投球動作に必要な筋肉のスイッチも入る」と助言した。

 「筋力トレーニングで棒状のものを握る際にも指の先端から、と意識を徹底している」と、心掛けについても伝えた。

 「感覚的なことを具体的に教えてくれて、とても分かりやすかった」「自分では考えたこともない、レベルの高い助言をもらえた。教わったことをチームに持ち帰り、全員で共有したい」。その場でプレーの改善を感じるなど、部員たちは多くを得たようだった。

 シンポジウムは2003年から始まった。「夢はあきらめずに追い続ければかなう」という思いを、かつて自分たちもそうだった高校球児に伝えたいと、プロ野球選手会がメッセージ集を編んだことがきっかけになった。

 高校野球の部員減が続くなど、野球を取り巻く環境は厳しさを増している。緒方さんは「出来る限りのことをしなければとみんな思っている。惜しみなく協力を続けたい」と話した。

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