小説「よむよむかたる」が第172回直木賞の候補作に選ばれた小樽出身で札幌市在住の朝倉かすみさん(64)には、気の置けない5人の友人がいる。北海道武蔵女子短期大学(札幌市)の落語研究会の同期だ。15日に東京で開かれる選考会を前に、友人たちに朝倉さんの素顔を語ってもらった。

小樽旅行で。右から香川由美さん、竹本明子さん、朝倉かすみさん、斎藤典子さん、阿部早百合さん、伊藤志津子さん=2022年、伊藤さん提供

 卒業から今年で44年、還暦を過ぎても交流が続く。6人が短大に入学し、出会ったのは1979年。当時の札幌は学生落語が盛んで、大通りにあったそば店では多くの大学の落研が参加する寄席が開かれていたという。「落語が好きで研究会に入ったのはかすみと部長(香川由美さん)だけで、私を含む残り4人はなんとなくでした」と話すのは阿部早百合さん。

 作家になってから「中学から三遊亭圓生が好きで、満を持して落研に入った」と告白している朝倉さんだが、学生当時は「落語について深く語ることはなかった」という。

記事後半では、朝倉さんの落語愛や広島東洋カープ愛、朝倉さんの創作のヒント、候補作「よむよむかたる」を読んだ友人たちの思いなどについて語っています。

 高座名は「ねこ家にゃん」。伊藤志津子さんは「かすみは身長も低くて可愛らしい感じ。畳の部室にいると、本当に猫が座っているようでした」と振り返る。

 高座では、「短命」という噺(はなし)をよく演じて「素人の私たちとは全然違い、他の大学からも一目置かれていた」と阿部さん。伊藤さんも「落語のまくらがすごくうまかった」。

短大の文化祭で。右から朝倉かすみさん、香川由美さん、伊藤志津子さん、阿部早百合さん、竹本明子さん、斎藤典子さん=1979年、札幌市、伊藤さん提供

 斎藤典子さんは、当時の朝倉さんを「自分の考えがあるんだろうなっていう感じ。淡々としていて、じっと観察してた気がします」と評する。自宅に行ったら「漫画がずらーっとあって、びっくりした」。いまも漫画好きで「昨年、札幌であった(漫画家の)大和和紀さんと山岸凉子さんの対談も見に行っていました」という。プロ野球・広島東洋カープの大野豊投手のファンで「就職で広島に行きたいと言っていたほど」だそうだ。

 学生時代の恋愛話は「誰もあ…

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