コロナ禍を経て、オフィスビルの需要が戻ってきた。特に東京の大手町、丸の内、有楽町(大丸有)地区がある千代田区は最も引き合いが強い。そこに多くのビルをもつ三菱地所の中島篤社長に、今のオフィス市況について聞いた。
――コロナ禍を経て、オフィスのあり方に変化はありましたか。
「まず、リアルの価値が見直されました。年代や職種によって違うかもしれませんが、オフィスに行かないと、きちんとしたコミュニケーションが難しいと再認識されたと思います。人材獲得競争も相まって、優秀な人を採用して、その人たちに最大限の能力を発揮してもらうためには、どういったオフィスにすべきなのか、各企業が真剣に考えるようになりました。かつてオフィスはコストと捉えられていたのが、今は投資という位置づけになっています」
「各社さまざまな工夫をしようとしています。私自身が直接営業する機会は少ないですが、その数少ない営業機会のなかでも多いのが『内階段がほしい』という声です。これまではオフィスの外にいったん出て、ビル本体のエレベーターや階段で行き来していたけれど、オフィスのなかで人が動けるようにしたいという要望が増えています」
――オフィス需要は高まっていますか。
「二極化しています。機能…