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香港民主派の主要政党、民主党の中央委員会は20日、解散に向けた手続きを始めることを決めた。かつては香港立法会(議会)の最大政党だったが、近年は中国政府が主導した選挙制度の改変により議席を失い、活動の継続が困難になっていた。約30年にわたって民主派の受け皿となってきた政党の消滅は、香港の民主的空間の縮小を決定づけることになる。
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20日夜の中央委員会後、羅健熙主席らが報道陣の取材に明らかにした。今後、党会員による大会を開き、75%以上の賛成で正式に解散が決まるという。
民主党は「香港民主の父」とも呼ばれる李柱銘(マーティン・リー)氏らが1994年に結成。香港の中国返還後、初となる98年の立法会選挙で第一党となるなど、民主派の主要勢力として存在感を示してきた。
一方、香港政府は2020年に反政府的な言動を取り締まる香港国家安全維持法(国安法)を施行。21年には選挙制度の改変により、選挙の立候補予定者が政府に忠誠を誓う「愛国者」かどうかを事前審査することになった。民主党はこれ以降、選挙で候補者を擁立していない。
同年には、政権転覆を目的に立法会選挙の予備選挙を行ったなどとして、胡志偉元主席ら複数の党メンバーが国安法違反で逮捕された。胡氏は昨年11月、禁錮4年5カ月の有罪判決を受けた。
香港メディアは、立法会や区議会の議員を失ったことで民主党の影響力は低下していたと指摘。資金調達パーティーも会場側からキャンセルされるなど、近年は資金集めなどにも苦慮していたという。