愛知県日進市の「にっしん観光まちづくり協会」が、コーヒーを使って街を盛り上げようとしている。地元の大学生とも協力し、コーヒーを地域の「名物」としてアピールしていく考えだ。
隣の長久手市に2022年、観光業の核として期待されるジブリパークが開園。ところが日進市には目玉となる名物がなく、観光誘客につなぎ切れていないのが課題だった。
地域ブランドを構築しようと市民や企業から意見を募ると、自家焙煎(ばいせん)コーヒーを提供したり、自然をいかした店舗づくりをしていたり、個性豊かなカフェが市内にいくつもあることが分かった。
そこで同協会は、ファンが多く、スイーツやパンとも相性のいいコーヒーに着目。「コーヒーの街にっしん」として市をブランディングしていくことに。
市ゆかりの焙煎士やコーヒー店経営者の協力を得て、地元の名古屋学芸大管理栄養学部で学ぶ4年生4人が一からコーヒーについて学び、カフェオレ「Sunrise(目覚めの一杯)」、レギュラーブレンド「Daytime(ココロ、軽やかに)」、エチオピア「Sunset(穏やかなひととき)」の3種類を開発した。
また、コーヒーにあわせたスイーツとして、市内産の米粉を使ったクッキーサンド3種類とパウンドケーキ5種類も考案した。
コーヒー店でアルバイトをしている永井沙英さんは「商品開発は見た目と味が勝負。リピートしてもらえる商品にしたい」。コーヒーが苦手だったという宮崎愛実さんは「苦手な人も飲みやすいコーヒーをつくりたかった。この経験を将来の仕事に役立てたい」と話しており、同協会の宮脇和久会長は「市内には大学が複数あり、学生や若い世代が多いのも街の財産」と目を細める。
学生が開発したコーヒーは、17日に「にっしん市民まつり」などとともに市役所で開かれる「バーガーフェス」で売り出される。
今後に向け、人気カフェを巡るコーヒーツアーなども企画しているといい、インバウンド客の取り込みも視野に入れていくという。(松永佳伸)