能登半島の被災地では今、今後の復興に向けて行政が住民の声を聞く会があちこちで開かれている。
首長と住民が対話したり、住民同士が対話したり。自治体ごとに方法はさまざまだ。どんな方法がベストなのだろう。
6月中旬の夕方、石川県珠洲市内の小学校の体育館に続々と住民が集まってきた。
体育館は避難所にもなっている。腰の高さほどの段ボールで区切られた避難者の生活スペースのそばで、泉谷満寿裕市長らが今後の復旧・復興について説明し、住民からの質問に答えた。
「隣の全壊の家や納屋が自宅に寄りかかっていて、夜寝られない」。高齢女性がマイクを手に打ち明けると、泉谷市長は「それなら、課長にそおっと住所を伝えて。緊急を要する家屋解体が進んでいる」と応じた。
珠洲市や能登町がまず開いたのは、住民の質問に行政が答える意見交換会だ。
住民が首長や担当者の考えを直接聞けるメリットがある一方、時間制限もある。全員が声を上げられるわけではない。また、住民が求める答えが必ずしも返ってくるとも限らない。
「当たり障りない答えばかり…