自民党総裁選への不出馬を会見で表明した後、退出する岸田文雄政調会長。宏池会出身の宮沢喜一元首相(左)と鈴木善幸元首相の顔写真が壁に飾られていた=2018年7月24日午後6時1分、東京・永田町、山本裕之撮影

 このニュースレターで今国会開会直前、自民党派閥の裏金事件について書いたところ、読者の方がご意見をアンケートフォームに記入してくださった。「会社員が同様のことをした場合には横領または脱税になることが指摘されていますが、政治家であるという理由で免責されるのは、世間常識からいっても到底納得できません」。政治家が裏金を受け取り、私的流用や使い残しを所得として申告しなくても脱税で摘発されず、刑事的にも政治的にも責任を免れる「抜け道」があることへの怒りだろう。裏金事件を起こした自民党の総裁で、「聞く力」を誇る岸田文雄首相に、こうした読者の怒りは届いているのだろうか。

  • ニュースレター「政治Plus」

 政治改革は30年前も、脱税事件など「政治とカネ」の問題に対する世論の批判を受けて進んだ。岸田首相が「政治の師」と仰ぎ、同じ派閥「宏池会」の領袖(りょうしゅう)で広島選出だった宮沢喜一元首相の在任中のこと。朝日新聞が報じた「宮沢喜一日録」のうち、1993年の「金丸事件」への対応をめぐる自筆メモを改めて紹介させていただきたい。

 「『前議員(金丸信氏)に脱…

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