岸田文雄首相は4日午後(日本時間5日午前)、フランスに続いて訪れた南米で全日程を終え、帰国の途についた。グローバルサウス(新興・途上国)との連携について成果を強調したが、経済力が陰る中、存在感の低下という現実も突きつけられた。外交戦略の課題が、改めて浮き彫りになった格好だ。
4日午後、ブラジル・サンパウロ大を訪れた首相は、安倍晋三元首相以来10年ぶりとなる対中南米スピーチを行った。多くの日本人移民が南米へ渡った歴史を礎に、気候変動や格差・貧困問題への貢献をうたった。
首相は、今回訪問したブラジルとパラグアイのすべての都市で現地日系人と懇談。今後3年間で1千人規模の交流事業などを打ち出した。ブラジルの日系人は270万人にのぼり、若い世代を中心に来日の機会を設けていくという。
さらに強調したのが、法の支配に基づく国際秩序の確保だ。
「自由と民主主義が脅威にさ…