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静岡地裁=2023年10月27日、静岡市葵区

 酒気帯び運転をしたとして懲戒免職処分になった元小学校教諭の40代男性が処分の取り消しを求めた訴訟の判決が6日、静岡地裁であった。平山馨裁判長は、男性が当時、薬の影響などでせん妄状態だったことが考慮されずに下されたとして、処分を取り消した。

 判決によると、男性は焼津市立小学校の教諭だった2017年3月10日夜、飲食店で同僚と飲酒した後、代行運転を利用して自宅近くの駐車場まで移動。自家用車に乗り換えて数百メートル運転し、ブロック塀や電柱に衝突する事故を起こした。

 この一件を受けて、静岡県教育委員会は19年8月20日付で男性を懲戒免職処分にした。

 男性は運転当時、服用していたアレルギー用鼻炎薬の影響などでせん妄による認識障害があり、アルコールを摂取したことを認識できない状態だったと主張し、処分は、こうした点を十分考慮することなく下されたもので無効だと訴えていた。

 判決は、せん妄状態だったことが「高度の蓋然(がいぜん)性をもって認められる」とし、県教委の処分は考慮すべき事項を考慮に入れないままなされたもので、裁量権を逸脱または濫用(らんよう)し、違法と認定。改めて行政庁の判断権に委ねるのが相当とした。

 男性の代理人弁護士は取材に「正当な判決だ。処分から時間も経っている。このまま確定してほしい」と話した。

 県教委の池上重弘教育長は「判決内容を精査していないので具体的なことは申し上げられない」としたうえで、「県の主張が認められなかったことは残念だ。判決内容を確認の上、控訴も含めて今後の対応を検討する」とのコメントを発表した。

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