三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の銀行と証券2社が顧客の非公開情報を同意なしに共有していた問題は、銀行界として規制緩和を求めておきながら、現場ではルール軽視が横行していた実態を浮き彫りにした。銀行と証券の壁をさらに低くする規制緩和の議論に冷や水を浴びせることになりそうだ。
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三菱UFJ銀など3社が主に問題とされたのは、同一金融グループ内の銀行と証券会社の間での情報共有を制限する金融商品取引法の規定「ファイアウォール(FW)規制」に反したことだ。企業に対し融資する銀行が、その優越的な地位を使って証券業務でも営業することを防ぐためにある。
金融庁は「日本を代表する金融グループの銀行と証券会社との間で顧客情報の不適切な授受が行われたのは大変遺憾だ」としつつも、持ち株会社のMUFGに対しての重い処分は見送った。三菱UFJ銀による取引先への優越的地位の乱用が認められなかったことや、内部管理体制の改善に向けた取り組みが行われていたからだという。
■焦点は関係者の処分へ…