香川県多度津町の大森翔太さん(32)が栽培するアスパラガスは、産直サイトの食材ランキングで何度も1位を獲得している。音楽活動にも力を入れており、2月に県内最大級のホールでワンマンライブを開いた。
農家とミュージシャンの二足のわらじにかける意気込みを聞いた。
――元々ミュージシャン志望だったのですか
小さい頃から歌うことが好きで、大学生のときに作詞作曲を始めました。
25歳のとき、大手レコード会社と仮契約するため、仲間の期待を背負って上京しました。
ところが、自分が思っていたほど音楽の才能を評価されていない現実を知り、さらに東京が自分に合わなさすぎて、3日目で体調を崩しました。
すれ違う人がみんな急いで歩いているように見えたり、うどんのだしが真っ黒で口に合わなかったり。それで1週間で故郷に逃げ帰ったんです。
――なぜアスパラ農家に
人の下につくのが苦手なので、社長になりたかった。自分に何があるかと考えたら、祖父の農地があり、農家をやれば自分が社長だなと思いました。
研究者を紹介してもらい、県農業試験場に行くと、県が開発したアスパラ「さぬきのめざめ」が栽培されていて、研究者が「生で食えるんぞ」とボキッと折って渡してくれました。
長くて太いのに軟らかい。おいしさに感動して、翌日たまたま家族全員が集まった場で、「アスパラ農家になるけん」と宣言しました。
大森さんのアスパラは産直サイトで1キロ3500円以上。決して安くはありません。
――産直で人気を集める秘訣(ひけつ)は
僕らが育てる「おおもりやア…