【動画】韓国・ソウルの国会議事堂周辺で混乱がみられた=太田成美撮影
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は3日夜、「自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布する」と述べました。これを受けて戒厳司令官が一切の政治活動などを禁じる布告令を出しましたが、4日未明、尹氏は一転して、非常戒厳を解除する方針を表明しました。韓国で何が起きているのか。タイムラインで速報します。
- 韓国大統領が「非常戒厳」を宣布 官僚の弾劾訴追で「行政府がまひ」
- 突然の「非常戒厳」宣布 韓国内に広がる困惑と混乱 与党からも批判
■■■12月4日(日本時間)の動き■■■
07:00(ニューヨーク3日17:00)
韓国ウォン下落、解除方針後にやや値を戻す
3日のニューヨーク外国為替市場で、韓国の通貨ウォンがドルに対して大きく下落して一時、約2年ぶりの安値水準をつけた。韓国の大統領が日本時間の3日夜、「非常戒厳を宣布する」と述べたことで、今後の情勢への懸念が拡大。一時、2.7%ほど急落して1ドル=1440ウォン台をつけた。
「非常戒厳」の解除方針が示された後はやや値を戻し、米東部時間3日午後5時(日本時間4日午前7時)ごろには、1ドル=1415ウォン前後で取引された。
米メディアによると、中央銀行の韓国銀行は現地時間の4日午前に臨時の会合を開き、今後の対応を協議するという。
04:28(ワシントン3日16:30)
米「撤回に安堵」
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が「非常戒厳」の解除方針を示したことを受け、米国家安全保障会議(NSC)の報道担当者は「尹大統領が非常戒厳の宣布を撤回し、国会の議決を尊重したことに安堵(あんど)している」と述べた。朝日新聞の取材に答えた。「民主主義は米韓同盟の基盤であり、我々は引き続き状況を監視する」との考えも示した。
米国防総省のライダー報道官は3日の会見で、米韓の軍同士でも連絡を取ってきたと説明。在韓米軍の態勢に変更はないとも述べた。
04:28
韓国野党「直ちに下野を」、与党代表「国防相解任を」
韓国の進歩(革新)系野党・共に民主党の朴賛大(パクチャンデ)院内代表は尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が「非常戒厳」の解除方針を示したことを受け、「内乱罪は避けられない」と指摘した。「これ以上、正常な国政運営ができないことが全国民の前に明らかになった」として、「直ちに下野しろ」と要求した。
一方、保守系与党・国民の力の韓東勲(ハンドンフン)代表も国会で記者団の取材に応じた。韓氏は金竜顕(キムヨンヒョン)国防相が「今回の戒厳を建議した」と述べ、尹氏に対し、金氏を直ちに解任するよう要求した。また、今回の「惨憺(さんたん)たる状況」について尹氏が直接、詳細に説明するよう求めた。
04:28
韓国の尹錫悦大統領、「非常戒厳」解除方針を表明
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は4日未明、前日に宣布した「非常戒厳」を解除する方針を示した。国会が解除要求決議案を可決したことを受け、「軍も撤収させた」とした。
尹氏の談話は、大統領府からの映像がテレビ局に送られる形で行われた。尹氏は非常戒厳の解除のために閣議を招集したが、未明のため「定足数を満たしていない」と説明。そろい次第、非常戒厳を解除するとした。韓国大統領府によると、その後閣議決定された。
一方で「国の機能をまひさせる非道な行為は直ちに中止するよう国会に要請する」とも述べた。
02:18
国際人権団体「法の支配優先を」
英国を本拠とする国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは3日、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布について、「人権制限の手段としてはならない」とする声明を出した。「緊急事態が宣言されても、法の支配が優先されなければならない」と訴えている。
同団体は東アジア担当リサーチャーの談話として「尹大統領は戒厳を宣布した理由を十分に説明し、人権を制限するいかなる措置も例外的で、一時的で、厳密に必要な程度に限定されることを保証しなければならない」と指摘した。
その上で「これが行政と司法権の軍への移譲を意味するのであれば、数十年にわたる努力の成果を台無しにするおそれがあり、人権に壊滅的な影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らした。韓国では1980年、戒厳令下で軍政に抗議した市民が多数犠牲になる「光州事件」があった。
韓国訪問予定のスウェーデン首相報道官「韓国の動向を注視」
スウェーデンの公共放送SVTによると、韓国を訪問予定だったスウェーデンのクリステション首相の報道官は、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が「非常戒厳」を宣布したことを受け、「訪問が行われるかは不明だ。韓国の動向を注視している」と述べた。
クリステション氏らは3日、日本に到着。スウェーデンの首相府によると、韓国へは5~7日に訪問し、尹氏と会談予定だった。
訪問には国防相らが同行し、貿易や安全保障政策について協議する予定だったという。
01:30
米「深刻な懸念持って注視」 米メディアも大きく報道
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が「非常戒厳」を宣布したことを受け、米国のキャンベル国務副長官は3日、「韓国の最近の動きを深刻な懸念を持って注視している」と述べた。キャンベル氏は「米韓同盟は鉄壁で、不確実な時期にある韓国を支持する」とし、「いかなる政治的紛争も、平和的に、法に従って解決されることを期待する」と述べた。国務省でのイベントで語った。
アフリカ南部のアンゴラを訪問中のバイデン大統領は、韓国の情勢について「説明を受けているところだ」とのみ記者団に語った。
米国家安全保障会議(NSC)は朝日新聞の取材に、「非常戒厳」の宣布について、韓国側から「事前に知らされていなかった」とした。「米政権は韓国政府と連絡を取り、状況を注視し、情報収集に努めている。現地の動きに深刻な懸念を抱いている」ともコメントした。
韓国の「非常戒厳」の宣布は、米メディアでも驚きをもって大きく報道されている。米CNN(電子版)は「現在韓国で起こっている驚くべき政治的不安定は、米国を含む海外でも波紋を広げるだろう」と指摘した。
【動画】戒厳の解除要求決議案は可決されたが、議員らは議会内で待機を続ける。記者たちもロビーで待機=太田成美撮影
01:00
韓国国会、非常戒厳の解除要求決議案を可決
韓国国会(定数300)は4日未明、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が前夜に宣布した「非常戒厳」の解除要求決議案を可決した。憲法では、国会が在籍議員の過半数の賛成で戒厳の解除を要求したときは、大統領は解除しなければならないと定めている。ただ、実際に解除に至るかは不透明だ。
【動画】国会議事堂の本館の入り口では、侵入を試みる戒厳軍と議員補佐官らがもみ合いになっていた=太田成美撮影
採決には190人が出席し、全員が賛成した。国会議事堂には戒厳軍が侵入を試みる中、議員補佐官らがバリケードをはって防いだ。
禹元植(ウウォンシク)国会…