内乱容疑で拘束された韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が現職の大統領として初めて拘置所に収監された。韓国で大統領は「帝王」というイメージがあるほど絶大な権力を握り、ソウルの広大な公邸で生活を送るが、環境は一転した。尹氏は今、どんな状況に置かれているのか。
- 【そもそも解説】韓国の尹大統領が「拘束」、「逮捕」とどう違う?
尹氏が入るのは「ソウル拘置所」。ソウル近郊の京畿道義王(ウィワン)市にあり、ソウル市内の大統領公邸から直線距離で約15キロ離れた場所にある。取り調べを受ける高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)がある隣の果川市の施設までは車で約15分だ。
尹氏は拘束された15日夜、車に乗せられ、ソウル拘置所に移送された。朝鮮日報によると、尹氏は黒いスーツに白いシャツ姿。拘置所で提供される服には着替えず、ジャケットを脱いだ状態で寝床に入ったという。
尹氏が入る部屋の広さは約10平方メートル。刑事事件の容疑者が令状審査の結果を待つ間に過ごすことを想定したものだ。ソファや寝具、トイレとシャワーに加え、テレビもある。テレビ局MBCによると、テレビは地上波の四つのチャンネルしか見られない設定だという。
16日の朝食は他の収監者と同じシリアルやゆで卵、牛乳などが提供されたが、尹氏は半分近くを残したという。
ソウル拘置所には、逮捕された歴代の大統領経験者も収監された。1995年には後に内乱罪で実刑判決を受けた盧泰愚(ノテウ)氏が、2017年には朴槿恵(パククネ)氏も収監された。
韓国メディアによると、昨年12月に子どもの不正入学に関わったとして業務妨害や職権乱用の罪で実刑判決が確定した野党・祖国革新党の曺国(チョグク)元代表も収監されているという。
曺氏は前政権で法相を務めたが、新たな疑惑が「いくらむいても出てくる」として「タマネギ男」の呼称で知られた。法相在任時には検察改革を任されたが、不正疑惑が次々に発覚。当時の検事総長は尹氏だった。