リニア中央新幹線の試験車両=2023年10月、山梨県大月市
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 静岡県の川勝平太知事(75)の辞職に伴う知事選が9日告示される。リニア中央新幹線静岡工区の着工に待ったをかけてきた川勝県政からの路線転換に向けた動きが加速するかどうかに注目が集まる。投開票日は26日。与野党対決の構図が強まるなか、4月にあった衆院の3補欠選挙後初の大型地方選挙となる。

 5月6日までに新顔4人が立候補を表明した。元県副知事で自民党県連が推薦する大村慎一氏(60)と前浜松市長の鈴木康友氏(66)=立憲民主党、国民民主党推薦=はリニア着工の「推進」を前面に打ち出す。政治団体代表の横山正文氏(56)も同じ立場だ。一方、共産党県委員長の森大介氏(55)=同党公認=は「中止」を主張している。7日にさらに新顔2人も立候補を表明した。

 大村氏は静岡市内で2日に開かれた公開討論会で、「1年以内に結果を出す」と述べ、1年をめどにJR東海などと課題を解決し、静岡工区の着工への道筋をつける考えを示した。

 鈴木氏もこれまでに示されたJR東海の保全策について「検討に値する」と評価し、「具体的な解決策について議論を詰めていく段階」と早期解決の意向を明らかにした。

 大村、鈴木両氏はリニア着工の前提として、川勝氏が求めてきた大井川の水資源と南アルプスの自然環境の保全をJR東海や国に求めていく姿勢を示す。静岡県にはリニア停車駅が予定されていないため、両氏とも東海道新幹線の停車本数増などのメリットもJR東海に求めるとしている。

 川勝氏はこれまでの知事選で「命の水を守る」として水資源や環境保全を主張し、県民から支持を集めてきた。森氏はこうした民意の行き場がなくなるとして立候補を表明した。

 公開討論会では「リニア建設よりも自然環境と命の水を守ることを優先すべきだ」と訴え、「コロナ禍を経てリモート化が進み、リニアのニーズそのものが薄れている」とも主張した。

 静岡工区(8.9キロ)では…

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