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「怒っている」と記された安藤忠雄さんのスケッチ
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 顔を紅潮させた人々が鼻先を突き合わせて議論している――。建築家の安藤忠雄さん(83)のそんなスケッチが印象に残っている。「怒っている」という言葉が添えられ、「KoBe 1995/1/17」「Ando」とも記される。阪神・淡路大震災の発生日だ。12日、神戸市の兵庫県立美術館であった「震災30年―まちは人がつくる」と題した安藤さんの講演会で、投影したものだ。

 安藤さんは講演冒頭こそ、震災で倒壊した高速道路や焦土と化した街の写真を見せ、「高速道路がバサッと倒れ、これを建て直してもまた上を走ることができるのかと思った」「もう何もない」と振り返ったが、内容のほとんどは、震災後に取り組んだプロジェクトについてだ。

 いつものように、軽口を交えて笑いを誘う講演だったが、全体を貫くのは、震災から30年の日本社会への「怒り」や危機感ではなかったか。

 安藤さんは震災が起きた当日…

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