【Last Day】「伝説のジャンプ」を生んだ仙台市の塩川書店五橋店が閉店。最後の日に密着した
また1軒、まちの本屋が消えた。
仙台市青葉区の塩川書店五橋店。あるじの塩川祐一さん(61)の苦しい決断だった。
1冊の「週刊少年ジャンプ」が、わずか20坪ほどの小さな本屋を、有名にした。
2011年3月11日、東日本大震災の揺れが仙台を襲う。棚の本は崩れ落ち、停電に見舞われ、商売どころではなくなった。
2日後のことだ。塩川さんが買い出しでスーパーの長い列に並んでいたら、何人かの若い母親に言われた。「子どもが余震や津波の映像を怖がっている。絵本やマンガを読ませたい」
大急ぎで片付け、翌日に店を再開。吸い寄せられるようにまちの人が入ってきて、「大丈夫だった?」「大変だね」と心を寄せ合った。
そのうち誰かが言いだした。「少年ジャンプはどうなる?」
店を開けた3月14日の月曜は、週刊少年ジャンプの発売日。東京からの雑誌の配送ルートが止まり、復旧のめども立っていなかった。
連載されていた「ONE PIECE(ワンピース)」の人気は絶大で、続きが読めなくなるのを皆、心配した。
1週間後に「山形で買ってき…