
能登半島地震から1年が過ぎました。地域を代表する伝統工芸品の輪島塗を担う職人、西勝広さん(70)は昨年10月に「人間国宝」に認定されました。ただ、「私が評価されたからといって、跳び上がって喜びもしない」と語ります。
「責任は増すばかりです」
漆器の表面を刀で彫り、金粉などで加飾する石川・輪島の伝統的な技法「沈金(ちんきん)」の分野で、昨年10月に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
昨年元日の能登半島地震で輪島市内も大変な被害を受けました。漆器同業者には家族を亡くした方もいました。家や作業場が全壊となり輪島から離れた人もいました。そして昨年9月の豪雨による2度目の被害は、絶望に陥ってしまうほどのものでした。私の自宅は壁が崩れて雨漏りもしているけど、家族にケガ人もおらず、仕事ができているから幸いです。
そんな状況のなか、保持者認…