国のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」の見直しに向けた議論が15日、経済産業省の有識者会議で始まった。前回2021年の改定時は電力の需要が緩やかに減るとした。今回はそれを覆し、デジタル化の進展で電力の需要も増えてゆく社会を想定する。再生可能エネルギーの活用策だけでなく、原発をどう位置づけるかも焦点だ。40年度の電源構成も示す見通し。
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エネルギー基本計画は少なくとも3年に1度見直すことになっている。前回の想定では、少子化や省エネが進むため、電力の需要も減るとしていた。今後も家庭部門の需要は減ってゆくとみるが、人手不足を解消するための省人化技術の普及や、電気を大量に使うデータセンター(DC)や半導体工場の新増設が進むため、産業部門の需要が大きく増えるとする。
全国の電力需給を調整する国の電力広域的運営推進機関によると、足元では約8千億キロワット時ある需要が、10年後は4%ほど増えるとみる。50年には1兆キロワット時を超えるとの推計もある。
電力の需要は国の成長戦略にも関わる。経産省はDCや半導体工場を誘致して、国内の研究開発や人材育成につなげたいとの思惑がある。それらの事業を担う企業は環境問題への関心も高く、非化石燃料による電力の供給を求めるケースが多い。経産省幹部は「安全保障の観点からも化石燃料への依存度は下げたい。脱炭素電源がないとAIも半導体も誘致できず、二重の負のスパイラルに陥りかねない」と話す。
ただ、電力需要が増えてゆく…