「雷が多いと豊作になる」。古くからの言い伝えが、科学的にも証明されつつある。雷は自然界のプラズマの一種だ。プラズマを人工的につくって農業に生かそうという研究がさかんになっている。

 雷は稲妻ともいい、「稲」の「妻」と書く。雷が稲に実をつけてくれると考えられたことが語源といわれている。奈良時代に編纂(へんさん)された「日本書紀」の中には、「雷電(イナツルヒ)」という記述がある。稲と雷につながりがあることが古くから知られていたと考えられるという。

 なぜ雷が豊作に結びつくのか。この謎を解くヒントがプラズマだ。

雷で養分→豊作に?

 プラズマとは、気体に熱や電気を加えたときに原子や分子の結びつきが弱くなり、電子とイオンに分離して自由に動き回る状態のこと。固体、液体、気体に次ぐ「物質の第4の状態」といわれる。

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装置で発生させたプラズマ。常温常圧でつくり出すことができ、触っても熱くないという=東北大の金子俊郎教授提供

 雷が豊作をもたらす仕組みはこう考えられている。

 まず、雲の中で氷の粒同士が…

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