障害を理由に当たり前のように「逸失利益」を減じる発想を改め、娘と、変わりゆく社会と向き合ってほしい――。そんな遺族の訴えを、20日の大阪高裁判決は正面から受け止め、「減額」できるケースを限定した。識者は「一つの到達点」と評価した。
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法廷で判決を聞き終えた井出安優香(あゆか)さん(当時11)の母さつ美さんは、涙を拭いながら、裁判官に感謝の言葉を伝えた。「安優香の気持ちを代弁して、自然と口から出た」と記者会見で明かした。
生まれつき重い難聴があった安優香さん。小学校の「自主勉強」には毎日欠かさず参加した。通信教育で使うタブレット端末は、使い方を教わらなくても自由に使いこなしていた。さつ美さんは「私の不安を安優香が全部解消してくれた。できるよ、分かるよっていう姿をたくさん見せてくれました」。
「安優香、裁判官が認めてくれたよ」
「人が好きな子だった」という。
補聴器を着けている人には年…