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プラットフォーマーがあらゆるサービスとのつなぎ役となり、経済や社会への影響力を増している=東京・渋谷、林敏行撮影
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記者解説 経済部・村井七緒子、和気真也

 デジタル市場の規制をテーマにしたイベントが1月に都内であった。欧米の当局者と並んで公正取引委員会の稲葉僚太・デジタル市場企画調査室長が白いパーカ姿であいさつした。「事業者とカジュアルなコミュニケーションがしたい」と、職員の有志で作ったパーカの狙いを語った。

 公取委はプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業と向き合っている。米アップルと米グーグルを事実上の規制対象とする「スマホソフトウェア競争促進法」が年内施行を控えている。生活必需品となったスマホに関わる市場において公正な競争を促すものだ。

 アップルとグーグルは、スマホを動かす基本ソフト(OS)で市場を二分する。アプリをダウンロードするアプリストアや、決済システムにおいて、他社の参入を妨げる行為などを新法は禁じる。違反すれば独占禁止法における従来の水準の約3倍の課徴金を科す。

 運用に向け、公取委は異例の体制強化をする。稲葉氏が率いる定員14人の部署は新年度に35人増員され、非常勤のデジタル専門職も合わせて60人規模に拡大する。事務次官級の待遇の非常勤のチーフテクノロジストも外部から登用する。これまで他国の当局に比べて人員の少なさが指摘されてきた。稲葉氏は「政府のなかでも必要性の高さを認識され、人員を手当てしてもらえた」と語る。

ポイント

 プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業への規制が、日本でも進み始めている。社会や経済への影響力が増し、民主主義を揺るがしかねない懸念もあるためだ。AI(人工知能)の規制では、開発と安全をいかに両立させるかなど課題が多い。

 規制では2021年施行の「…

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