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大学が多く、若者が集まる京都は、かつて「ベンチャーの都」と称された。その強みを生かし、学生のうちから起業家を育て、いずれ実を結ぶ可能性の高い研究シーズ(種)を見つけ出そうと、京都企業が大学とタッグを組み始めた。
取り組みの一つが、京都中央信用金庫と京都府が1月に始めた「IDEA(アイデア) BANK(バンク)」だ。
京都企業が直面している課題を解決に導くアイデアを、学生たちがチームを組んで提案し、実用化をめざす。第1回のテーマは「伝統産業」と「食」。大阪・阪神百貨店のバイヤーらプロのサポートを受けながらアイデアを磨き上げていく。
参加する学生を4月から募り、8月にはビジネスコンテストを開く。優秀者には賞金が贈られるほか、京都中信がアイデアの実用化に向けた伴走支援をする。
1月20日にはキックオフフォーラムが京都市であり、取り組みに賛同する府立大、京都芸術大、京都産業大、立命館大の4学長らが参加した。
府立大の塚本康浩学長は、22歳の時に起業し、現在も七つの会社を経営しているという自らの体験を紹介。「起業には若さと体力が必要。大企業や公務員志向の学生が多いが、起業も一つの選択肢だと知ってほしい」と学生たちに呼びかけた。
京都中信の高瀬泰治常務理事は「大学とは違った目線で、若い人たちの斬新なアイデアを形にするお手伝いをし、京都企業の活性化につなげたい」と話す。
一方、島津製作所と堀場製作所は1月、府立医科大と、研究成果の社会実装を目的とする包括連携協定を結んだ。記者会見で、両社は府立医大に単年度で2千万円ずつの研究資金を提供すると発表した。
島津製作所の山本靖則社長は「臨床の『現場』を持っているのが大学の強み。共同研究でヒントを見つけ出し、イノベーションにつなげたい」。堀場製作所の足立正之社長は「研究シーズを大学が生かし切れていない現実があると思う。企業の力で社会実装につなげ、新しい診断や治療に役立てたい」と話した。
府立医大の夜久均学長は「公立の医科大として、過疎地域が直面する医療課題などを解決する役割も果たしていかないといけない。若手研究者の人材交流も進めていきたい」と語った。