飛び石で整備された「磯の観察路」=2025年1月16日、石川県能登町、小崎瑶太撮影

 大小の入り江が特徴的な九十九(つくも)湾のそばにある「のと海洋ふれあいセンター」(石川県能登町越坂)。浅瀬の生き物を間近で観察できて、能登半島一帯の生態系を研究する拠点でもある。海の形をも変えた能登半島地震後のことを知りたくて、足を運んだ。

 センターから間近な透明度の高い浅瀬では、海底の砂まで見える。飛び石と木材で海岸につくられた遊歩道「磯の観察路」(全長約800メートル)をめぐると、ヤドカリや海藻に手が届く。夏季のシュノーケリングでは、岩礁帯を好むスズメダイの群れを見ることもできる。水深約2メートルにはこの地で発見された「ツクモジュズサンゴ」も生息するという。

飛び石の「磯の観察路」からはカサガイ類など海の生物に触れられる=2025年1月16日、石川県能登町、小崎瑶太撮影

 そう教えてくれたのは、センターの普及課技師で生態系を研究する荒川裕亮さん(32)だ。月に1度の「ヤドカリ学級」(要申し込み)では、磯の観察路で生き物たちとの出会いを楽しみながら、職員が解説もしてくれるという。

 同センターのスタートは、1994年に県が調査研究などを目的に開館した「海の自然保護センター」。2004年には、シュノーケリングなど大人も子どもも楽しめる体験プログラムを提供する「海の自然体験館」を隣に開いた。両施設をあわせて「のと海洋ふれあいセンター」と呼ばれる。

九十九湾に生息するヒトデに触れることができる=2025年1月15日、石川県能登町、小崎瑶太撮影

 センターを統括する内平俊春館長(68)は「透明度の高い海の上を歩くような感覚で、小さな生き物ともふれあえる。専門家もいるので何でも聞ける。いろんな世代の方に楽しんでいただける施設でありたい」と語る。

 だが開館30周年にあたる2024年の元日に能登を大地震が襲った。建物に大きな被害はなかったが、今も遊歩道の一部が通行止めになっている。従来のように定期的にイベントを開けるようになったのは9月ごろのことだった。

 能登半島の海も一変した。荒…

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