(プロ野球、12日 阪神タイガース1―0横浜DeNAベイスターズ)
前日の11日、阪神は最大7点差をひっくり返されて敗れた。この展開は2022年のヤクルトとの開幕戦以来。当時のチームはそこから泥沼の9連敗を喫した。
この日先発を託された才木浩人は、強い決意でマウンドに上がった。「昨日の後だったので、きっちり締めないといけない」
150キロ前後の直球に加え、フォークにスライダー、カーブ。そのすべてがカウント球にも、勝負球にも使える高い精度だった。
最大のピンチは七回だった。無死一、二塁で、打席には前日に勝ち越しの本塁打を放った筒香嘉智。ひるむことなく内角高めに力のある速球を投げ込み、二ゴロ併殺に打ち取った。「あれが今日一番大きかった」。後続も二ゴロに打ち取り、無失点で切り抜けた。
ベンチで見ていた岡田彰布監督は「六回くらいから、余計良くなってきた。速球も、風で高めがちょっと伸びてるというか。安心していた」。継投が頭をよぎらないほど、隙のない128球の完封劇だった。
直近2試合は先発がピリッとせず、負担のかかっていた救援陣を休ませることができた。「才木さまさまよ。はっきり言うて」。ここのところ渋い表情の多かった指揮官が、えびす顔で帰路についた。(安藤仙一朗)