寄贈する資料の中には、よろず相談室の事務所に掲げていた看板もある=2024年10月8日、神戸市長田区、千種辰弥撮影

 阪神・淡路大震災の直後から被災者の見守り活動を続けてきた神戸市の市民団体「よろず相談室」の元代表、牧秀一さん(74)が、活動の資料を震災の教訓を伝える施設「人と防災未来センター」(神戸市)に寄贈することを決めた。来年1月で震災から30年。当時、どのような課題があったかを知ることで、次の災害に生かしてほしいとの思いがある。

 JR新神戸駅近くにある牧さんの自宅に8日、人と防災未来センターの職員2人が訪れ、段ボール箱約20箱に入った資料の説明を受けた。震災資料研究主幹の林勲男さんは「一人ひとりの被災経験と牧さんの活動を残す意味で貴重な資料。預かる責任を感じる」と話す。

 牧さんが、よろず相談室の活動を始めたのは震災から9日後。ほかのボランティアと一緒に、避難所になった神戸市東灘区の小学校体育館で被災者の悩みに耳を傾け、必要な情報を盛り込んだ手作りの新聞を配った。

 被災者がもともと住んでいた場所から離れた仮設住宅に移り、孤独死や自殺が問題になると、訪問を開始。さらに災害公営住宅に転居した後も訪問を続け、何げない会話を通じて「一人じゃないよ」と伝え続けた。

 また、震災によるけがで後遺…

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