指揮者の藤岡幸夫さん=2024年12月10日、大阪市北区、白井伸洋撮影

 大阪が拠点の「関西フィルハーモニー管弦楽団」で首席指揮者を務めてきた藤岡幸夫さん(62)が、4月に「総監督」に就任する。経営や運営、社会貢献の企画にも力を注ぐ楽団全体の指揮役だ。

 生まれも育ちも東京の江戸っ子だが、近畿のあちこちの街でPRの「大使」を担うほどに関西に入れ込み、その理由を「アンチ東京」と語る。その真意は。そして世界を飛び回っていた指揮者はなぜ、この楽団に「骨を埋める」覚悟をし、総監督としてどんなことに取り組むのか。語ってもらった。

英国で出した「結論」

「関西フィル」の演奏会で指揮する藤岡幸夫さん=青柳聡さん撮影、関西フィル提供

 ――総監督は楽団の「総合プロデューサー」のような立ち位置ですね

 やりたいと考えていることの一つは、関西のそれぞれの町との絆を深めることです。大阪府門真市の情熱大使、京都府城陽市の応援大使、滋賀県長浜市のPR大使などを務めてきました。指揮者でこれほど「大使」の肩書がある人は、少ないと思います。

 また、関西フィルと協定を結ぶ東大阪市は私たちにとって第二の故郷。2019年にオープンした市立文化創造館のコンサートホールには、私が設計から関わってきました。そういう場所があるのはありがたい。とっても大切にしています。

 ――生まれも育ちも東京ですが、関西に入れ込んでいますね

 一生懸命、関西フィルと一緒にやってきた理由の一つは「アンチ東京」。日本は東京一極集中を終わらせなきゃいけないという強い思いからです。

 これは、英国で15年間暮らした僕の結論です。

 マンチェスターに住んでいた…

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