野田市役所の旧食堂=2024年5月29日、千葉県野田市、斎藤茂洋撮影
  • 写真・図版

 千葉県野田市は、閉店した市役所の食堂の復活をめざす方針を固めた。再開にあたっては、運営を担うメンバーとして、市内で調理などを学ぶ高等専修学校の生徒たちに依頼する。市は「高校生レストラン」として開店させる考えだ。朝日新聞の取材に、市の幹部が明らかにした。

 市幹部によると、食堂はかつて、市職員の福利厚生を目的に、市庁舎の最上階の8階に開き、「レストラン」の名称で委託業者が運営していた。しかし、不採算を理由に2016年5月に閉店した。

 当時の食堂は、職員だけでなく、市民ら一般の人も大勢利用し、愛着を持たれていたという。

 庁舎は、高さが40メートルで、市内で最も高い建物の一つ。食堂の窓や、食堂と同じ階の展望ロビーからは、北に筑波山が、南には東京スカイツリーがそれぞれ望める。「市役所の一等地」と言われていた。

 食堂だったスペースは今、「旧レストラン会議室」として職員の打ち合わせ場所になっている。市は新たな魅力発信の拠点として食堂跡を活用できないか検討してきた。

 その中で、全国の高校生がスイーツづくりで腕を競う「スイーツ甲子園」で優勝経験もある「野田鎌田学園高等専修学校」に、レストラン運営を打診する案が浮上した。

 高等専修学校である同学園では、生徒たちは「情報高等科」でITなどを学ぶほか、「調理高等科」で料理人をめざす学習や栄養学、食品衛生の知識の習得に励む。高校卒業の資格も得られる。

 打診された学園側は、「生徒たちが調理、接客、運営と、総合的な経験ができる実践版『総合調理実習』の場になる」と快諾。キャリア教育を進めるほか、地産地消やフードロス、食育を検討する場にもする考えだ。

 営業は、授業との兼ね合いから、火~木曜日の週3日間で、ランチのみの営業になる見込み。生徒たちの夏休み、冬休みの時期や年末年始は休業し、年間の営業日は80日前後になるとみられる。

 学園側は、外部の力も借りて経営することを考えており、開業後も市と定期的に協議していく。

 16年の閉店後も、厨房(ち…

共有