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笑顔で練習する県警音楽隊員と門前高校の部員たち=2024年9月19日、石川県輪島市門前町、小崎瑶太撮影
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 元日の能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市にある県立門前高校吹奏楽部の1年生4人が21日、同市マリンタウンの輪島キリコ会館で演奏を披露する。この日に始まる「秋の全国交通安全運動」の出発式で県警音楽隊と能登ゆかりの曲を奏で、聴く人に元気を与えたいと願う。

 元日の地震では門前高も避難所となった。吹奏楽部でも自宅が被災し、仮設住宅で暮らす部員がいる。春から他校との合同演奏会にも参加してきたが、地震で道路が使えず、リモートで音を合わせることもあったという。

 21日は県警の音楽隊と総勢20人超の演奏となる。吹奏楽部の顧問、清水徹教諭(56)は「生徒たちは、中学生の頃から人数の少ないバンドだった。貴重な経験になる」と話す。

 演奏には、ふるさとが被災した警察官も加わる。トランペットを担当する金沢中署地域課の警部補、柄田謙二さん(61)は、珠洲市三崎町の実家が半壊。3月に演奏会で珠洲市の蛸島小学校を訪れた際、倒れた家屋を見て涙があふれた。

 柄田さんら音楽隊の5人は19日、門前高を訪れて練習。柄田さんは「演奏で、ひとときでも地震のつらさを忘れてもらえれば」と話す。トロンボーンの国守伶美香さん(1年)は「たくさんの人と演奏できてわくわくする。震災でみんな、心も体も疲れていると思う。笑顔を届けたい」。出発式は21日午前11時から。(小崎瑶太)

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