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高額療養費の負担引き上げをめぐり、厚生労働相と面会し、記者会見を開いた全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長(右)ら=2025年2月12日午後3時12分、東京都千代田区の厚労省、吉備彩日撮影
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 医療費の患者負担に月ごとの限度を設けた「高額療養費制度」の見直しをめぐり、がんや難病の患者団体が12日、福岡資麿厚生労働相と面会した。厚労省によると、福岡氏は長期の高額治療を続ける患者に配慮した形で修正を検討する意向を伝えたという。一方の団体側は見直し自体を凍結するよう求めた。

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 全国がん患者団体連合会(全がん連)と日本難病・疾病団体協議会(JPA)、慢性骨髄性白血病患者・家族の会「いずみの会」などが面会した。福岡氏は長期療養に配慮して案の修正を検討する意向とともに、高額療養費制度の利用額が急増するなかでの見直しの必要性を説明したという。

 団体側は、患者たち3千人超から寄せられた声をまとめたアンケートと、引き上げ中止を求める約13万人の署名を福岡氏に手渡した。面会後、会見した全がん連の天野慎介理事長らは、「引き上げにより、治療と仕事を両立する現役世代の患者の生活が破綻(はたん)する可能性がある」と訴えた。

 高額療養費制度は、大きな手術や高額な薬剤利用などで医療費の支払いが膨らんだ際、所得に応じた限度額に抑える仕組み。政府は当初、2025年夏から27年夏にかけて、3段階での引き上げを想定していたが、がんなどの患者から強い反発の声があがったことから、昨年末にまとめた改革案の修正に着手している。

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