ジェネリック医薬品は多くの種類がある(本文とは直接関係ありません)=2022年6月、大阪市中央区、田中奏子撮影
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記者解説 くらし報道部・藤谷和広、オピニオン編集部・富田洸平

 ジェネリック医薬品(後発薬)の不足が長期化している。2020年以降に複数のメーカーで品質不正や法令違反が相次ぎ、出荷停止になったことがきっかけだ。

 ここに来て目立つのは、せき止めやたんを切る去痰(きょたん)薬など身近なかぜ薬の不足。昨年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の区分が引き下げられ、感染対策が緩和された。その後、流行が抑えられていた季節性インフルエンザや、乳幼児に多いRSウイルス感染症などが拡大。コロナ下であまり使われなかった薬の需要が増えた。

 厚生労働省は昨年10月、企業側に増産を要請。他の薬の製造ラインを使ったり、在庫を出荷したりすることで、昨年末までに1割以上供給量が増えたという。だが、調剤薬局を営む高橋正夫・東京都薬剤師会長は「需要に供給が追いついていない。不足は続いている」と話す。

 足りないのはかぜ薬にとどまらない。日本製薬団体連合会の調査によると、4月末時点で医師の処方箋(せん)が必要なすべての医薬品の23・0%(3906品目)が限定出荷や供給停止となっている。後発薬は2589品目と約7割を占める。

 新たな不祥事も発覚した。昨年12月には胃炎の薬の品質試験で不正が続いていたとして、沢井製薬(大阪市)が行政処分を受けた。

 厚労省の有識者検討会は昨年6月にまとめた報告書で、「日本において医薬品は安定的に供給されるという『神話』は、崩壊の危機に瀕(ひん)している」とした。

ポイント

 身近なジェネリック医薬品(後発薬)の不足が深刻で、解消の見通しが立たない。メーカーで品質不正などの不祥事が相次ぎ医薬品安定供給の「神話」は崩壊の危機。国は業界の構造にメスを入れ、供給責任を果たせる仕組みなど抜本対策を急ぐべきだ。

 国も手をこまねいているわけ…

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