知能自動車研究所・代表取締役の山崎俊一さん。「交通事故鑑定の第一人者」として知られる=2024年8月14日、茨城県つくばみらい市、鳥尾祐太撮影

 福岡市の「海の中道大橋」で2006年、飲酒運転の車に追突され、幼児3人が亡くなった事故で、鑑定に携わった山崎俊一さん(74)=茨城県つくばみらい市=は証人として各地の法廷に立ち続けている。その後、飲酒運転の罰則が強化されたが、悲惨な事故は後を絶たない。事故から25日で18年。山崎さんは今も、被害者の無念を思いながら鑑定作業に向き合う。

 「何から手をつけたらいいんでしょうか」。2006年8月25日の事故発生後、山崎さんの携帯電話が鳴った。電話の相手は、福岡県警の捜査員。一般財団法人・日本自動車研究所で、タイヤ痕から事故原因を解析する方法などを研究してきた山崎さんは、警察学校で講師を務めており、捜査員は教え子だった。

 「故障診断装置(OBD)を押さえてくれ」。OBDは、エンジンなどに搭載されている故障時の速度やブレーキ圧などを記録する装置だ。

 山崎さんはその後、検察から…

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